書類の中に挟まれた一枚の写真だった。そこに写っていたのは、応接室の前ですれ違ったあの男だった。

「それが神代正義だ。誰だって騙されちまうくらいのいい男だろ?」

柊は無言のまま、写真を見つめた。

「どうした? ビビッたか?」

柊はフッと息をつき、書類と写真を封筒に戻すと保常に向き直る。

「ありがとうございます。実は先日、東雲社長を訪ねた際、この男とすれ違いました。東雲社長は私に触れてほしくなかったようでしたが」

「いいか、お前は今までどおりにしてればいい。あちこち嗅ぎ回って、会うべき人間に会って話を聞けば何か糸口が見つかるさ。神代は金にならない人間には興味はないはず。でも自分の『集金ルート』を邪魔する奴が現れたら、俺たちもろともスマートに消し去るだろうな」

保常の冷徹な忠告を背に、柊は店を出た。夜気は冷たいというより、重く、湿っていた。

その不快さを振り払うように、柊は足早に駅へと向かった。

7

数日後、柊は再び東雲社長から呼び出しを受け、本社を訪れた。今度は川本経由ではなく、直接メールが送られてきていた。こちらの動きを悟られたのかもしれないが、柊は承知のうえだった。

「困るね、柊くん。どうも社の内外で不穏な噂が立っているようだが」

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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