八月二十日(日)、二人は和歌山の白浜に来ていた。「海を見たい」と言う澄世からのメールに和彦が応え、ドライブに誘ったのだ。

いいお天気で、水着姿の家族連れや若いカップルで賑わっていたが、二人は人気のない堤防沿いに車を止め、堤防に腰かけて並び、海を眺めていた。今日の澄世は、真っ白なレースのワンピースを着ていた。化粧も薄く、年齢不詳で、少女のようにも見えた。

「ありがとう。連れてきてくれて」
「どういたしまして」
「あぁ気持ちいい。海って本当に綺麗」

青い海は太陽に照らされ、キラキラと波が光っていた。水平線がどこまでも延びて、この世界の無限を表しているようだった。

空には白い雲が気持ちよさそうに浮かんでいる。そこをカモメが二羽、仲良く飛んでいる。

和彦はそっと澄世の腰に手をまわしてみた。一瞬ピクッとしたが、澄世はジッと動かなかった。

頃合いをみて、和彦がもう片方の手を澄世の前に回して、そのまま肩を抱き唇を奪った。また一瞬ピクッとしたが、澄世は抵抗しなかった。あっという間に和彦は澄世を両腕に抱き込んでしまいキス攻めにした。