きっと『覚悟』だったんだね。中途半端な気持ちは1ミリもない、迷いなんて1ミクロンもない。でもね? どれくらい前かな?

私は気付いてたよ。隠していたつもりだったのかな? ちゃんと分かってたよ。何年兄妹やってると思ってるの?

そう、私はなんとなく気付いていたんだ。何も根拠は無いけれど、不思議なモノを感じていた。

普段から優しい兄が更に優しく、どんどん穏やかになっていった。それは見ているコッチが恥ずかしいと思うくらい。結婚する前って、こんな感じなんだ……。

幸せそうで、安心感がある空気を放っていて。何て言えば良いのだろう? 

ひたすら幸せに向かっていると思った。

大切な誰かができると、まるでお花が飛び散っているような、こんなに平和で心満たされているのだと伝わってくる。

兄との時間を1日1日大切にしたい。少しでも思い出を残したいと思ったのは間違いなかった。

きっと近い内に家を出ていく。なぜか分からないけど、そんな気がしていた。

そう思ったのは半年以上も前のこと。

いつもなら無かった事が、有る事へと変わっていった。

メールを送れば必ず返信をしてくれた。いつもだったら数時間後……いや、仕事中で返信が無い事の方が多かった。

『忙しい人ほど、時間の使い方が上手』という言葉は、どうやら本当らしい。

1カ月……2カ月……と、過ぎて行く。

兄から放っているオーラ、感じるものは相変わらずあるのに、何も展開が無く、日々だけが過ぎて行った。変化が起きてほしい訳では無いけど、絶対に何かあるはず。

だって、おかしい! 何かあるなら知りたい!

ここまで人は変わるのかと思うくらい、優しくて穏やかで。良い意味で『変』という言葉が一番合っていた。

ある時、私はワガママを言った。

「家族みんなで旅行に行きたい!」と、勇気を出して言った。

父の事だから、私の話なんて聞かないと思っていたけど、車で行ける範囲の場所ならOKと言ってくれた。

なぜだろう? 父もどこか優しく感じる。機嫌を伺う一筋縄ではいかない人なはずなのに、やっぱり私の周りは何かが『変』だった。

考えに考え、美味しい物巡りに名古屋を希望した。笑顔で受け入れてくれ、実現した時は嬉しかった。

ひつまぶしにお刺身、その他にも色々なグルメを食べて、皆でお酒を飲んだ。

 

👉『涙の種類』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】店を畳むという噂に足を運ぶと、「抱いて」と柔らかい体が絡んできて…

【注目記事】「今日、主人は出張で帰ってこないの」ホテルの入口で一瞬ためらったけれど、夫だって浮気をしているのだから私だって…