イラスト 鈴木なるみ

プロローグ 「涙の種類」

涙には、種類がある。嬉しい涙、悲しい涙、悔しい涙。

見た目は全て同じ、瞳から流れる『液体』だ。

でも、いつどこで、誰を想って流すのか。

背景にある景色により、液体の成分が違う。

涙となって頬を濡らすまでには、必ず物語がある。

そして、私には好きな涙がある。それは、

【努力した時の涙】だ。

結果を問わず、頑張ってきた事が伝わってくる。

そんな姿に心が揺れ、感動する。

そして、知らなかった涙があった。

【受け入れられない涙】だった。

私はこの涙を、沢山流した日々が続いた時期があった。

嬉しくても悲しくても、受け入れられなかった。

でも……。

【必要な涙】であった事は、間違いない。

人生の道すがらで、もし出会っていなかったら?

嬉しかった時に流した涙が無かったら?

そうやって、つい振り返ってしまう事をやめたいと思って仕方がない。

けど、心のアンテナは感情をしっかりとキャッチしてくれているのだ。

場面に合った涙がトンネルを通り、瞳までしっかり運んで来てくれる。

溜めておくのか流すのか……。自分次第。

そして、どうしても経験してしまう悲しい場面。

おそらく、そこで知るのは、

【二度と流したくない涙】になるのだろう。

見た目は同じでも、意味も感情も背景も違う。

あなたは、どんな涙を流してきましたか?