私は周りに迷惑をかけないよう、本当に列から離れようか、自分を守るための行動をしようか、勇気を出して申し込みしたイベントの直前で何もかも分からなくなっていた。
確実に覚えている事は、とにかく手が震えていた。この震えは、ついに待ちに待ったイベントが始まるという自然なものなのか? それとも、怖さから来ているのか。区別がつかなかった……。
二列になった時、どんどん前に詰め始め、私はついに、
「神様……」と、目を力強く閉じ、心の中で神頼みまでしていた。
その時、君が隣に来たんだ。
「お一人ですか?」って。
君は知らないだろう。その後の数々の奇跡。
私の中から沢山の負の感情が消えたなんて。
『今の私でもチャレンジできるかな?』そう思える事が多くなった。何よりも、本当にチャレンジして評価を得る事も後に出てきた。
君は特に何も思ってないだろう。イベントの日、同じく一人だった私に声を掛けただけ。
ね? きっと、そうでしょう?
君の存在が、当時小さな世界で生きていた私に、どれだけの可能性を教えてくれたか。
まるで、浜辺に存在する『星の砂』のように。光輝いていたのに、どこかで拾わない理由を探していた。逃げていたのかな……変わる事から。
恐れていたのかな……グレーゾーンを。自分の中で決めつけてしまえば楽だって。記憶の過去に向かって歩けば歩くほど、そんな気がしてならなくて。
出会わなかったらきっと私は、まだ殻を破れていなかった。
これから詳しく書くよ。その前にひと言だけ……。
君に出会えて本当に良かった。
(*1)閉所恐怖症…閉じ込められた空間や窓の無い狭い空間に恐怖を感じる。不安が強く、すぐに逃げられない場所を避けたがる。日常生活に支障が出ると、病気と判断されてしまう。