Keiさんの会社の創造的人財育成は、春先からリ・スタートを切っていた。和田さんをはじめ、彼も石橋さんも全国のエリア拠点へ、仲間に対面で意志を伝えようと飛び回っている。

ただ、いつも通りの会議室で、テーブルを並べ替えただけで〈さあ、ざっくばらんに話しましょう〉と言っても、そうカンタンにひとの心がほぐれて開くわけでもない。

「リョウコさんが、ここの大テーブルに目をつけたの、よくわかるよ。しかし、全国のエリアごとにライブラリー・スペースをつくるわけにもいかないしなぁ」

Keiさんたちのプログラムは、地域ごとに開催する仕様になっていた。

天吊りモニターでシェアハウスのニュースを見ていたアッちゃんが、ふと、つぶやく。

「会社が本を買い揃えるだけじゃなくて、みんなが読んだ本を持ちだし合ったら、どうかしら?ジョージくんの言うみたいに、なにが仕事のヒントになるか、わからない。絵本かもしれないよ。あたしは、ひとがどんな本をアイデアのネタ元にしているのか、そこも興味があるわ」

クマくんが、スマホからゆっくり顔を上げた。

「気づきの交換所か……」

「それ、ウチの部門でちょっとやってみようかな。私の上司や後輩が、どんな本を読んで、どの言葉に線を引っ張っているのか、ちょっと気になる。それに私の家は、本の置き場に困っている」

「クマさん、そういうの、ありですか?」

「……登録システムを考えてみる」

次回更新は5月6日(水)、11時の予定です。

 

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