アッちゃんのいる、週末の〈Patina〉に戻る。今夜もカウンターの右隅には、クマくん。となりにKeiさん、角をまたいでジョージがいて、近所の若夫婦が奥に並ぶ。
おつまみ三品は、枝豆の冷製スープ、小鮎の南蛮漬け、新鮮なグリーンライチ。タエさんが、スープのつくり方を若夫婦に教えている。
青い枝豆は、使い勝手がとてもいいのよ。ジョージがKeiさんに、セールスというわけでもなく、ライブラリーのあるコミュニケーション・スペースづくりを勧めていた。
人財開発リーダーが、誠実に耳を傾ける。
「みんな、本を読むのかな? AIの要約に頼るような気がする。良いかどうかは、別だけど」
「クライアントの会長さんが、読まないのなら、本のほうから近づけようって言いました。それに、出社した日に、会社の個人机でリモートデイと同じ、ひとり仕事をしているのは、おかしいって」
Keiさんは、いつものようにビールグラスを空けながら、仲間たちの仕事をイメージしようとしている。
「どんなライブラリーなの? うまく想像が湧かない」
「腰ぐらいの高さの本棚が、ぐるっと丸く、コミュニケーション・スペースを囲んでいるんです。公共図書館の、子ども向けのお話し会スペースみたいな」
「そういう工夫なのか。話し合う場所の雰囲気って、ほんとうは大事だよなぁ」