まず「製造業の名目労働生産性水準」を記したグラフを見てみます。製造業は長く続いた工場の海外移転などが原因で競争力が弱くなったともいわれますが、ここでは上位に位置しています。しかし、[図2]のグラフのように全産業ではOECD加盟国中、労働生産性はとても上位とはいえません。2012年の統計では2009年から2012年にかけて財政危機に見舞われたギリシャより下位に位置しています。

[図1]製造業の名目労働生産性水準
[図2]OECD加盟諸国の労働生産性

このふたつのグラフから日本経済は製造業によって支えられていることがわかります。トヨタ自動車のように生産方式に磨きをかけた製造現場は世界超一流ですが、非製造業では日本は生産性が低く競争力に乏しいありふれた国といってもよいことがわかります。

テレビ番組などをはじめとする国内メディアは日本のものづくりを礼賛することが多く、確かに的を射たものも存在します。しかし、ものづくり以外では米国や欧州などから謙虚に学ばなければならないことはまだまだ多いようです。多くの中小企業は競争力を高め、改善の努力をすべきなのではないでしょうか。