【前回の記事を読む】マスコミは他人を貶めるような記事ばかりで味方は居ない。そう思っていたが、“ある放送”を観た時…私の考えが変わった。
二
女相撲の部屋は、本場所が無い期間は、タニマチや後援会筋の主催する巡業を、部屋単独や他の部屋と合同で実施するのだが、女力士は二人だけで、そんな太いタニマチも居ない桜田部屋は、本場所が無い期間は、ひたすら稽古に励んでいた。
右近が、三度目の連続優勝を果した後に、清少納言が所属する鈴掛部屋(すずかけべや)から、巡業に参加しないかと連絡を受けた。
道長は、誘って頂いたのは有り難いが、桜田部屋は女相撲雑誌達に嫌われているので、女相撲ファンの中にも桜田部屋を嫌っている者も居るだろうから「もし、参加表明して、巡業の集客に影響するようなことがあれば、迷惑を掛けるかたちになるので遠慮したい」と言ったら、
交渉役の清少納言が「じゃあ、当日にサプライズ参加しますか」と言ったので、桜田部屋初の巡業参加が決まった。
道長は、部屋の皆に巡業参加については箝口令(かんこうれい)を強いたが、女相撲ジャーナルにスクープを提供しようと考えた。
佐波に連絡を取り「女相撲ジャーナルさんは、鈴掛部屋の巡業は取材しないのですか」と聞いた。
佐波は「その日は、柊部屋の巡業の取材予定なんです」と答えた。
それなら仕方無いと、道長は桜田部屋が巡業に参加することを佐波に伝えるのを諦めた。
だが、この遣り取りを見ていた女相撲ジャーナルの編集長が、何かあると感じ、佐波に柊部屋の巡業取材は、当日ドタキャンして鈴掛部屋の巡業へ行くよう、指示した。
見事な青空の下、屋外で行われた鈴掛部屋の巡業当日。満員のお客さんの前で、お礼の口上を述べる清少納言。
客から「次の場所は、あのチビ(右近)を倒して、大関になってくれ」と言われ、会場に拍手と歓声があがる。
清少納言や紫式部は大関昇進が確実と言われながら、未だに関脇の番付に居ることを、二人のファン達は無念に思っていて、新しく大関になり活躍している右近が、二人のファンからの恨みを集中的に受けていたのだ。
清少納言が「今回は、特別に巡業に参加してくれた女力士達がいます」と紹介し、右近と雷子が登場した。
凍り付いた観客達。舞台裏で笑いをかみ殺す清少納言。雷子がお礼の口上を述べて、桜田部屋が初めて参加した巡業が始まった。
巡業では、基本的に関取同士の取組は行わない。まず、雷子が鈴掛部屋の女力士達と取組むが、何れも、雷子の強烈なぶちかましの前に吹き飛ばされた。観客達は、あの用心棒のような女は、かなり女力士として実力者だったことを認識した。
清少納言が「あんた達じゃ、相手にならない」と言って土俵に上がった。
歓声が飛ぶ中、清少納言と雷子の取組は大相撲となったが、清少納言が、得意の付き押しで勝った。