第七章 子供ができるということ
「自分達で育てられないのなら、子供なんて産まなければいい!」
その考えのもと、自分の子供だけには同じ想いをさせたくはないと強く感じていた。『できちゃった結婚』はまさに責任感のない人間達のなせる技だと思った。
結婚という覚悟ができてない未熟な人間が、子供なんて育てられるわけがない。事実、彼らの離婚率は高い。
離婚で一番傷つくのは、子供だ。自分にとっては世界でたった一人のお父さん、お母さん。それなのに大人の都合で一緒にいられない。会うことさえ叶わなくなる子供もいる。
さらには若いシングルマザーのネグレクト、そして母親の恋人から虐待を受けて亡くなってしまう子供のニュースも度々耳に入る。どれも他人事とは思えず私は胸が痛かった。片親、親無しの辛さは嫌という程分かっている。
母の日には大好きなお母さんの絵を描きましょうと小学校で言われた。皆がそれぞれ思い思いに母の似顔絵を描くなか、私は一人クレヨンを握ったまま下を向いていた。
「美雪ちゃんなんで描かないのー?」
前の席のお節介なお下げ髪が私を振り返って大声を出す。慌てて担任が来て、私の肩に手を置いて言った。