「あのさ、友美が電話に出ないんだよ。全然連絡が取れない」と隆弘は切り出す。

涼介は驚いた表情で答える。

「マジ? 何かあったんかな? 心配だな……」

微妙な空気感を抱えたまま、二人はセンター街へと歩を進めた。

センター街。ガムが貼り付いたアスファルト、煌めくネオンサイン、高校生や大学生、アパレル店員や街頭パフォーマーが混在する生態系の中、二人は会話も少なめに進んでいく。

隆弘は昨夜からの不安が膨らむばかりだ。友美はなぜ電話に出ないのか。彼女は地下アイドルとして活躍していたが、その裏で何があったのか。

その時、前方からギャルの集団が歩いてきた。

中心にいるのは竹田アンナ。

アンナは高身長で、モデルとして磨き上げられたスタイルが一目でわかる。黒髪のスーパーストレートロングで顔は完璧に整い、切れ長の瞳と品のある鼻筋が印象的だ。

セシルマクビーのカーディガンにイーストボーイの鞄をさらりと組み合わせ、その絶妙なバランスが「誰もが手を出せるアイテムなのに、不思議と最先端を感じさせる」と周囲を惹き付けている。雑誌『Pinky』の読者モデルとして名を馳せ、渋谷の女子高生たちが憧れの眼差しを注ぐカリスマ。

周囲の女の子たちは、アンナが放つ光を反射する衛星のように笑顔を振りまいている。

アンナはその中心で、あくまでもナチュラルに、街の主役として存在していた。

「あれ、隆弘と涼介じゃん!」

アンナが軽く手を上げ、白い歯を見せる。彼女の声は柔らかく、楽しげで、この街で生きる若者にとっては特別な音色を帯びている。

「アンナさん! 相変わらずオーラやばいっすね」

隆弘は一歳上のアンナに対し少し緊張した笑みを返す。いつもなら涼介が先に口を挟むところだが、今日は隆弘を立てているようだ。

涼介は軽く頭を下げて笑う。それは「俺ら、また変なイベントに巻き込まれたりしないよな?」という無言のメッセージかもしれない。

 

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