山の学校では、自然の中で犬が犬として活動する時間と空間を使います。ここでは飼い主との社会活動を通して犬は役割を発揮し、規律正しいルールの中で社会性を学ぶ機会を得ています。

共感して学ぶ人の仲間、犬の仲間がいることで学びは何倍にも膨らみます。山の学校では山羊と暮らし、ニホンミツバチを育て、草を刈り、木を育てていますが、自然との関わりを通して感じたり考えたりする時間が、犬を見る視点を変えることに役立ちます。

これまでにたくさんの犬や飼い主と共に学ぶ機会をいただきましたが、犬の育て方を人に教えることは、自分で犬を育てるよりもずっと難しいことでした。家庭犬のトレーニングを始めたときは、飼い主へ何をどのように伝えるのかを悩む時間が長く続きました。

トレーニングを始めた頃の古いノートに、トレーニングの目的として書き留めたものがありました。そこには、「共感、信頼関係、安心感、理解、自立、社会性、協調性、自信」とありました。この基本軸は全く変わっていません。変化したのはどう伝えるのかということでした。

例えば、飼い主がより簡単に犬にオスワリを教える方法について試行錯誤してきました。海外の勉強会に参加して報酬による条件付け強化トレーニングを学びクラスに取り入れたこともありますが、学び続けた結果、これもひとつの方法でしかないことに気づきました。

変化のきっかけは、都会から山に学校を移転させたことでした。自然の中で長い間、犬の行動を観察したことで、犬の学習に対する考えが大きく変わったのです。

報酬や罰を用いてトレーニングをしなければいけないような状態に犬が陥っているのは何が問題なのだろうか、という考えに切り換えることができたのです。

犬は動物であること、犬は犬として生きること、犬は素晴らしい動物であることを学ぶ場は自然の中にあると信じ、犬の自然活動を真剣に見続けてきました。

山の学校での学びでは、特にオポの行動観察を通して犬という動物の本質を知る機会を得ました。オポが亡くなった後に、都会でオポと散歩した公園を訪れても、そこにオポの姿を見つけることはありませんでした。

私の記憶に残っているのは土のにおいを嗅ぐオポ、風を嗅ぐオポ、山を歩くオポなのです。本当に犬のことが知りたいと思ったからこそ、オポが導いてくれた場がここにあります。オポは私の先生でした。出来の悪い生徒でしたが、根気強く向き合ってくれたことに感謝しています。

犬のことが知りたくて犬の仕事に就き、その思いから犬の学校を作りました。もっと犬のことが知りたくなり山に引っ越して犬と暮らして学び、今では家族やヤギやニホンミツバチという動物たちも一緒になって学び続けています。

犬のことが知りたくて本気で続けた学びは、自然の中で家族と共に学び、人として成長する学びにつながりました。

犬との暮らしを通して、犬・自然・人を学ぶ、これがグッドボーイハートの学びです。

 

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