「ご結婚おめでとう」
「華菜さんは、どうして貢さんと結婚しなかったんですか」
「貢の愛情を感じなかったの。愛されてるって思えなかった」
華菜さんは悲しそうな表情を見せた。
「でも、三年ほどお付き合いしたんですよね」
「私が貢に惚れて、付き合いを申し出たの。すぐ、付き合いが始まったわ」
「貢さんは華菜さんを愛していましたよ」
華菜さんは首を横に振った。
「私は愛されてなんかいなかったわ」
「でも、貢さんは一緒にいてくれたんですよね」
「一緒にいるから愛しているとは限らないわ」
私はなんて答えていいか分からなかった。
「貢はいつも相手の女性を本気で愛したことがないのよ。彼は本物の愛を知らないかわいそうな人よ」
「そうなんですか」
「ただ一人だけ本当に愛した女性がいたみたいよ。その人に裏切られてから貢は本気で女性を愛さなくなったのよ」
一人だけ本当に愛した女性。
「もう、私のことはいいから。沙優さんは、週刊誌の記事を鵜呑みにして、出てきちゃったってわけ」
「鵜呑みだなんて、あり得るなと思っただけです」
その時、つわりの症状が出て、華菜さんに妊娠が分かってしまった。
「沙優さん、妊娠してるの?」
「はい」
「おめでとう、良かったわね」
「ありがとうございます。それでさっきの話ですけど、私が泊まるところないから、貢さんのマンションに置いて欲しいって頼んだんです。そしたら、交換条件で婚約者の振りをしてくれって、だから私に愛情はないかもしれません」
華菜さんは納得したような表情を見せた。