100人規模の『ライブハウス中野』の入り口のゲートには『MIO F・Cスペシャルライブ 2040』の派手な立て看板がかかっていた。

円華はその会場の最前列で美緒の歌に合わせて身体を揺らしていた。何人かの観客が円華の存在に気づいたようだが、彼女はお構いなくファンたちと一緒に音楽に酔っていた。美緒の歌と会場全体が一体となって熱気の渦に包まれた時、円華もいつか自分自身でこんなライブを開きたいと本気で思った。

悠真もドラマ出演のスケジュールを確認しながら、いつか円華に本格的ライブを思い切りさせてあげたいという新たな目標が頭に浮かんだ。

『ちびっこドキドキインタビュー』と書かれた大きな掲示板のもと、雛壇席に座った50人もの子供たちが並んで全員が右手を上げている場面だった。

「28番!」

司会者に指名された女の子が立ち上がって質問を投げかけた。

「初めてデートをしたのは何歳の時ですか?」

すると司会者の隣に立つ美少女が、テレビ画面にアップで映し出された。

頭に青いリボンをつけた同色の青いワンピース姿のその少女が質問に答えた。女子高生かもしれないが、年齢よりかなり大人びて見えた。

「11歳」。少し間を置いて「小学校6年生」

司会者が「おっ!」と好奇の声を上げた後、すかさず次の質問を投げかけた。

「相手は?」大きな黒い瞳を左右に動かし記憶をたどった後、彼女は何の躊躇もなく答えた。

「一つ上!」

しかしすぐに照れ笑いを浮かべ、正面を向いてペロっと舌を出した。八重歯がキラリと光った。会場全体に大きなどよめきが広がった。

テレビを見ていた小学6年生の少年、青山悠真も一瞬で心を奪われた。

彼にとって今まで体験したことのない衝撃的な瞬間だった。

今のは何!? これは誰? そう思った瞬間だった。

突然画面が別の番組に切り替わった。二つ上の兄がチャンネルを替えたのだ。

画面では中年の雛壇芸人たちの野太い笑い声が響いた。さっきの子供たちとはえらい違いだ。

「何すんだよ?」

抗議しようとしたが、兄はまるで関心なさげにテレビに映る女性が巨大な皿の料理を平らげていく様を眺めた。ソファーに座る母に訴えるまでもなかった。

喧嘩が起こることを察知した母親は悠真を子供部屋に戻るよう促した。ただどうせ中学生の兄に勝てるわけがない。仕方なく二階の自分の部屋に戻った。

あれは一体誰だったのか。悠真は悶々としながら、就寝までの時間を過ごした。

 

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