2)連邦と州の二重構造

米国は、独自の立法、行政、司法をもつ国家であった州が集まったという歴史的経緯があり、連邦と州の二重性が残っています。従い、原則として州の憲法の範囲内で独自の立法権を持ちますが、州の立法が連邦の法律に反する場合は、その部分は効力が生じません。

州裁判所はあらゆる事件を取り扱うことができますが、連邦裁判所は憲法及び法律に特別の規定のあるものについての事件だけしか取り扱うことができません。

例えば①連邦の問題を含む訴訟、②州内会社と州外会社との争い、③海事事件、独禁法事件、倒産法事件、特許・著作権に関する事件、④州同士の訴訟、連邦政府が原告・被告となる訴訟等です。

尚、上記③と④は連邦裁判所が専属管轄を持っていますが、①と②は州裁判所と連邦裁判所が競合して取り扱うことができます。連邦裁判所が連邦法のみ、州裁判所が自分の州の法律だけを適用するのではなく、連邦裁判所が州法を適用することもあれば、州裁判所が連邦又は他の州の法律を適用することもあります。

また、特別な場合には、州最高裁判所から連邦最高裁判所への上訴が認められています。尚、商事法については、統一商事法典のように、米国の連邦商事法的な地位を与えられている法律もあります。

3)陪審制度

陪審制度とは、訴訟で争われる事実認定を素人で構成される陪審員が行うという制度です。もともとは英国で生まれた制度ですが、米国で盛んになりました。日本では、裁判員制度が2009年に始まりましたが、これは刑事裁判に参加する制度で、米国のような民事裁判に参加する制度ではないです。

複雑な商取引に素人である陪審員を加えるのは如何かなということで、陪審裁判の放棄を契約書に記載するケースがあります。

4)米国で弁護士を起用する際の注意点

米国で弁護士を起用すると言っても、日本の企業の場合は、日本の大手弁護士事務所に依頼して、その弁護士事務所の提携先弁護士事務所を起用する場合が多いと思います。特に、大規模なM&A案件等を行うときは、ファイナンシャルアドバイザーが指揮をとり、日本側・米国側でプロジェクトチームをつくり、公認会計士、環境コンサルタント等も入ります。

その際の注意点として、弁護士は専門分野が分かれていますので優秀・適切な人を選ぶこと、依頼内容をきちんとまとめて丸投げしないこと、弁護士の仕事をきちんと見ておくこと等です。請求書は業務内容と業務時間が明記されているものを毎月もらうことです。

 

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