まえがき

多くの日本企業が米国企業と取引をしたり、米国に子会社を持って現地で事業活動を行っています。そこで、筆者の経験をもとに、何に注意すれば良いか、実務的にどういった対応をすれば良いのかなどをまとめてみたいと思っておりました。ということで、従来折に触れて勉強したことやメモしていた事項を整理して、この本にまとめました。

米国においては訴訟が日常化しており、ビジネスに影響を与えているように思います。また、いったん訴訟となれば証拠開示に膨大な手間が生じます。それには、普段から用意をしておくことが大切だと思います。

その他独禁法による取引規制への理解、域外適用等米国へ赴任した駐在員のみならず、日本で対米取引を行う人も、米国での法務問題に配慮することが必要となります。まず日米の大きな相違点は下記ぐらいになるでしょうか。

1)日本と米国の法に対する意識

a)契約に対する意識:日本は単一民族・単一文化の国ですので、法律以外にも長年にわたって築かれた意識、商慣習などもあり、取引の契約書も普通は3~4ページと短く、最後に「本契約書に記載なき事項は、信義誠実の原則に基づき双方協議のうえ定める」と記載する例が多いです。話し合いで解決しましょうという発想です。

一方、米国では、交渉においてもきちんと主張し、かつ双方が納得した結果を記載したものを契約書と考えます。従って、ボリュームは大きく、種々の事項が記載されています。

b)訴訟に対する考え方:日本では、問題が発生したときには、まず話し合いで解決しようと考えると思います。話し合いをしても解決しないときに、訴訟に持ち込まれます。しかし、米国ではまず訴訟を起こして、これを背景として有利に話し合いを進めようと考えます。米国では、訴訟を起こして報酬を得ようとする弁護士が多くいます。

でも、これは戦い方の違いです。訴訟を起こしても、途中から自分に有利な妥協案を持ち込んで和解・示談で解決されるケースが多いです。訴訟については、製造物責任、医療過誤、経営者責任などは金額も大きく、件数も多いようです。