【前回の記事を読む】「駿ちゃんやったら、余裕で関関同立いけるやろ?」親友にそう言われて、将来が頭をよぎる。進学、就職。でも俺は…

第2章

この世界には、「がん」を殺すことができる殺し屋がいる。当該極秘情報を入手するために、僕は誰もいない放課後の南館三階の情報教室に潜入。まるで特殊スパイのような動きをあえてする。あえてするのだがこの行動に意味はない。ただの雰囲気づくりである。

広い机の片隅で窓から射す光線を半身に受けながら、生徒用に貸し出されたパソコン端末を起動させた。僕のスパイ活動のミッションはただ一つ。「がん殺し」を請け負ってくれる殺し屋を探すこと。

そして僕は画面の向こう側の世界で、「がん殺し」を請け負ってくれる殺し屋を遂に発見することに成功した。業務たる殺しを依頼する方法、報酬、殺害方法など、文明の利器を最大限に利用して、僕は彼のありとあらゆることを調べた。

殺し屋のコードネームは、NK。ナチュラルキラー細胞の略称だそうだ。兵庫県尼崎市在住の、どノーマルな高校2年生である僕には医学的な難しいことは一切理解できない。

難しい医学的記事に直面したとき、一瞬、エロ画像サイトに高飛びしようかという衝動が脳裏に去来したが、オカンのために堪える。我慢しろ、第二次性徴を迎えた俺の底なしの欲望。ジブリ映画の名シーンを必死に思い描いて己の性欲を服従させる。

葛藤に打ち勝った僕は、再びNK細胞関連サイトに集中する。難解な医学用語を読み飛ばしながら、ネットの情報を自分なりに咀嚼。

人間の体というのは、細菌やウイルスなどの病原体、また突然変異して生じるがん細胞などによって常に危険にさらされているらしく。それでも病気を発症せずにいられるのは、体を守るための免疫システムがうまく機能しているおかげらしく。この免疫システムの中心的な役割を果たしているのがNK細胞らしく。NK細胞は体内をパトロールし、がん細胞などを見つけると攻撃し殺傷してくれるらしく。

これがナチュラルキラーと呼ばれる所以らしい。このNK細胞。僕たち人間の体内に五十億個も存在し、その働きが活発になればなるほど、がんを殺してくれる。そして。僕は当該NK細胞を活性化させる驚愕の方法を知る。