南條さんに、圭人を今でも愛しているかと聞かれて、私ははっきり答えられなかった。五年経って想いは薄れている、その理由は南條さんに惹かれているから。でも南條さんには彼女がいる、決して好きになってはいけない人だから。

南條さんは優しい人。もし、このまま婚約者の振りを続けたら、このままずっと南條さんの側にいられるのかなと叶わぬ夢を見てしまう。

ごめんね、圭人。やっぱり私南條さんが好き。でも、南條さんは彼女のもの。とても私なんかが太刀打ち出来る相手ではない。そういえばいつ彼女とデートしてるんだろう。彼女はどんな人かな、南條さんより年下だよね。

もし、急に彼女と結婚ってことになったら私どうしよう。南條さんがいないと生きていけない。そんなことを考えていると、南條さんが声をかけてきた。

「沙優、どうした」

私は南條さんに聞いてみることにした。

「南條さん、もし彼女さんと結婚って話になったら、私、一人で生きていけません」

「沙優、大丈夫だ、そんな話は全く出ていない」

「でも……」

私はいつかここを出て行かなければならないと思うと、急に不安になり、涙が溢れてきた。

次回更新は3月9日(月)、22時の予定です。

 

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