【前回記事を読む】多くの業種に分散投資するポートフォリオは、非効率。元証券アナリストが勧める「効率的」な投資戦略とは。

第2章 決算発表前後のアナリストの投資判断に学ぶ

アナリストのレーティング変更は決算発表1週間後以降が多い

アナリストのレーティング変更はオンラインの投資情報ツールで知ることができます。基本的に証券会社に所属するアナリストは、ファンダメンタルズ分析(経済業況等を基に相場の動向を分析する手法)を基に、フェアバリュー(妥当株価)を算出し、現在の株価がフェアバリューに比べて割安か割高かを判断し、レーティングを決定します。

私は長年外資系証券会社でアナリスト業務に従事してきました。私の担当は3月決算の会社がほとんどでしたので、だいたい4月25日前後から5月10日頃にかけて、各社の年度決算が発表されます。

四半期決算は、第1四半期が7月下旬から8月上旬、第2四半期が10月下旬から11月上旬、第3四半期が1月下旬から2月上旬にかけて発表されます。

さて、アナリストの作業ですが、年度決算発表後が最も大変です。業績予想は通常現行年度を含めた3か年予想が原則なので、年度決算が発表されるたびに、もう1年度先の予想を作成しなければならないからです。

したがって、新しい業績予想に基づいた目標株価やレーティングを付与したレポートの発行には、決算発表シーズン終了後、最低1週間かかると言っていいかと思います。

つまり、担当企業の決算発表日が5月10日だとすれば、その1週間後あたりから、アップデートされた目標株価やレーティングが発表されるのです。一方、四半期決算は業績予想のアップデートにそれほど時間を要しないので、早い人は決算発表当日のレポートに新しい業績予想と目標株価を反映します。

市場期待を上回る決算を受けて、投資判断を下げるアナリストはいないので、好決算で翌日の株価が上昇するのを織り込んだうえで、中期的な業績目線が上昇したことを理由に投資判断を引き上げます。

この場合、アナリストレポートそのものに対する株価の反応は限定的です。個人投資家の皆さんは、四半期決算が好決算だった場合、翌日に株を購入しても短期的な株価の上昇は見込めないでしょう。

しかし、多くのアナリストがカバーする主力銘柄に関しては必ずしもそのとおりではない場合があります。株価は決算発表の翌日に、業績内容を瞬時に織り込みます。ただし、株価の瞬間風速が正しい反応なのかどうか、その後、段階的に評価が変わっていく場合があります。

会社側の情報提供をアナリストが知り、レポート発信するのは、決算発表同日夜から翌日の朝、市場開始前です。