そのサイクルをいかに早くしてあげるかということがスポーツトレーナーなどの指導技術、トレーニング方法(トレーニングメニュー)にかかっています。そこが指導者の腕の見せ所です。治療も同じでそのサイクルをいかに早くするかで、治療効果の早さが決まります。そうやって効率よく筋肉を増やし、筋力をつけていくわけです。
これくらいは最低限の知識、教養として持っておくべきでしょうね。こういったことを知った上で何曜日にはどこそこの部位にこれだけのウエイトをかけ、どれくらいのレップスでやらせるかなど。さらに個体差を考慮してやらせていくことが重要ですね。
先ほどの質問に対するお答えですが、高齢者の方でも筋トレすることで筋肉が強化されるということがわかっています。ちゃんとした指導のもと、適度にやるべきですね。高齢者の方はアイソメトリックスやスロートレーニングで中間筋を増やしていくといいですよ。
糖尿病などの生活習慣病を持病としている人にはとてもいい筋肉ですので、中間筋を増やすトレーニング(アイソメトリックスやスロートレーニング)を試みてください。
スロートレーニングとは、たとえばハーフスクワットでいうと15秒から20秒かけてゆっくり下半身を落としていき、また15秒から20秒かけてゆっくり元に戻していくといった動作などです。あまりハードな運動は活性酸素を増やす原因にもなり、ケガの発生率も高くなりますからね。
ということで、スポーツトレーナーや医者も、目的や症状を含めた個体差を考慮した上で指導していくことが大事です。スポーツクラブの会員さんへ「筋肉をつけたいんですね? 体力をつけたいんですね? じゃあ、このマシンやダンベルを使って10回2セットをやりましょう」、膝を痛めている患者へ「内転筋を鍛えましょう」では真の指導とは言えません。
※1 筋肉の太さはフィラメントの数で決まり、日常生活ではフィラメントは半分しか使われていない。フィラメントが働く持続力は約5秒。仮にフィラメントが4本あったとして、筋肉を縮める際に半分の2本を使う。その5秒後に残りの半分(2本)が働きだす。日常生活程度の負荷ではその繰り返しで間に合うが、トレーニングによる負荷がかかるとそれでは間に合わない。だから、負荷がかかるトレーニング時は最初から一気に4本使う。持続力は5秒程度しかないため、5秒以上の負荷がかかるとフィラメント不在の状態になり、不足しているフィラメントの数を増やそうとする。予めトレーニングによってどれくらいの負荷がかかるかなど想定してないため、5秒たって初めてフィラメントが不足しているか否かを感知する。その時、フィラメントの一部はトレーニングの負荷に耐えることができず壊れている。それを作り直す際に、不足分のフィラメントを加えてトータルの本数を増やしていくという仕組みになっている。