幸せになってよ、マジで
二〇〇五年夏、東京の大学に通うまゆは、彼氏の恭平と一緒に地元茨城の潮来(いたこ)へ戻り、高校からの親友である祥子(しょうこ)に会った。祥子は、自宅から茨城県内の短大に通っている。高校を卒業して、もうすぐ一年半になるが、まゆはこの間、半年と空けずに帰省して祥子と会っていた。
友達に恋人を紹介するのは祥子が最初。恭平も同じ潮来の出身だが、別々の高校に通っていたので、祥子と恭平は初対面だ。三人で居酒屋に行き、ふたりの馴(な)れ初(そ)めや、それまでにした痴話喧嘩(ちわげんか)などの話をした。
「ところで、祥子は彼氏いるの?」
「去年の十一月に、短大の友達から中学の後輩を紹介してもらって付き合ってる。彼、うちの高校の後輩だってことが、あとからわかって」
祥子も、恋人のことを短大以外の友達に話したのは、まゆがはじめてだという。
「そうなの!? 今度会わせて」
「次会うときに会わせてあげる」
しかし、それは実現しなかった。
十月のある夜、まゆがコンビニで買ったお弁当の夕食を、ひとり暮らしをしているアパートで食べていると、祥子から電話がかかってきた。
「もしもし、まゆ? 今何してる?」
「ご飯食べてる。それよりどうしたの?」
「彼と別れた」
「なんで?」
「土浦の花火大会に行く約束をすっぽかされた。連絡も取れない」
「そっか。辛いよね。そしたら次にいくしかないね。このことは忘れて」
「まゆに会いたいよ」
「東京においでよ。いろいろ案内してあげる」
「あさっての体育の日、予定空いてる?」
「午前中はバイトだけど、午後なら空いてるよ」
「じゃあ、あさって、東京行く」
電話を終えたあと、まゆは、待ち合わせ場所をメールで送った。
約束した日、上野駅でふたりは合流した。