途中、カマキリを見つけたり、台風のあとの、もはや「せせらぎ」とは言えない、激しい小川の流れを見たりしながら歩いた。そして、林を抜けると吊り橋に到着した。五人は吊り橋の上で、ヨガのポーズを取ったりして大はしゃぎした。

吊橋から帰ると、各自荷物をまとめて、合宿のお会計を済ませた。その際、里紗は、ちょうどインストラクターと出くわしたので、頭痛について相談した。そうしたところ、

「それは断食の好転反応です」

とのこと。

「だから、薬飲んでも効かなかったんですね」

と言うと、

「断食中は、薬は飲まないほうがいいよ。飲みたかったら、半分にするとかしたほうがいい」

とアドバイスされたが、すでに遅し…。

このあとは、断食後の回復食の説明を講師から受ける予定になっていた。その説明が始まる前にアンケートを書いた。ずっと、自分より年下だと思っていた同室のふたりが年上だと知った。アンケートに年齢を書く欄(らん)があり、それがたまたま見えたのだ。

「私、今年で三十二になります」

と美羽。

「早生まれなので、学年は今年三十一になる人と同じです」

と続けて美紀恵。

香菜子は四十歳になったとのことで、この合宿に参加したのは、スイミングスクールに通っている小学生の娘に、背中の肉を摘(つ)ままれたからだと話していた。

一方、あかりは、里紗と同じ二十九歳で、もうすぐ三十歳を迎えるという。

「里紗さんは誕生日いつ?」

「十一月です」

「あたし十月だから、一か月早いね」

とあかり。

同じグループだった五人は、もう、すっかり仲よくなって、LINEの交換はもちろんしたし、帰りの列車にも一緒に乗ろうという話になった。

伊豆高原駅で五人は、伊豆急行線で行ける、それぞれの目的地までの切符を買った。終点の東京駅まで行くのが美紀恵、美羽、あかり。横浜駅で降りるのが香菜子。そして、里紗は熱海(あたみ)駅までだった。

次回更新は2月4日(水)、21時の予定です。

 

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