〈追記一〉

その後、執刀医が判明いたしました。秋田大学で、小児外科講座もない草創期に小児外科をされていたF先生でした。

宮本には面識がありません。秋田大学にその後できた小児外科講座に在籍されていた先生のお話では、F先生は十年ほど前に亡くなられたとのことです。

もうX先生のことを伝えることもできません。ご冥福をお祈り申し上げます。

(二〇一八年八月二十五日)

〈追記二〉

あれから二年経ち、宮本の定年退職でF先生から渡された“医のバトン”を後輩に引き継ぐこととなりました。

人生百年と言われる時代、赤ちゃんの時に手術を受けた人の一生を診ていくには四世代ほどの小児外科医がバトンを引き継ぐ必要があるようです。

小児外科医は、自分たちの手術した子どもの行く末を見つめ、そこから得た教訓をもとに次の手術の工夫を考えてゆかねばならないのです。

(二〇二〇年七月二十日)

ばちがあたる

先日、助手席に家内を乗せ、買い物にとランドクルーザーのハンドルを握りました。

いつものように交差点を右に曲がると、すぐさま家内の声、

「どこに行くつもりっ!?」

車に乗る前に家内と話していたスーパーとは逆方向に向かい始めていたのでした。

ここはどこ? わたしは誰? の状態!!

最近こんなことが増え、家内は気にしているようです。

な~~に、大したことではない! ちょっと考えごとをしていただけ……と、心の中で言いながら、少し先の駐車場を利用してUターンし目的の店に向かったのでした。

スーパーでお買い物の最中、家内がポケットやバッグを探り、買い物メモを探しています。見つからないようです。

横目で見ながら、「まっ、人生いろんなことがあるな……」と余裕の発言です。

円熟? 老成?した夫婦の片鱗を覗かせつつ、二人の記憶力テストのつもりでメモの記憶をたどり買い物を続けました。

おつまみチーズに手を伸ばしたところで突然、

「宮本先生! お久しぶりです。お元気でしたか!」

がっちりとした髭の男性から大きな声をかけられました。