【前回記事を読む】今日の産業界では「モノ」の生産よりも「情報(知識)」の生産のほうが大きな付加価値を生み出している?

第1章 「新産業文明論」Ⅰ─産業分類の歴史と現状の課題─

第2節 日本の標準産業分類の現状とその問題点

1.日本の標準産業分類とその課題について

また一方、マーク・ポラトの産業分類を通して日本の産業構造を見た場合には〝モノの生産〟よりも〝情報(知識)の生産〟がより大きな付加価値を生み出していることに注目できます。

その〝情報(知識)の生産〟の場を「市場内」とした第1次情報部門(情報サービス産業)と、「組織内」とした第2次情報部門(企業や政府の内部)とに分類しています。

彼がいう「情報(知識)の産業化構造」は、情報(知識)の専門集団が企業や消費者が必要とする情報(知識)を商品として提供することによって形成します。

例えば、システムインテグレータ(SI)は企業が必要とする情報システムの構築・運用を請け負いますし、顧問弁護士は企業や消費者が必要とする法務サービスを提供します。

1977年の米国の産業連関分析に従うと、労働所得の58%、GDPの38・7%がこの〝情報〟の生産によるものであるといいます。

このマーク・ポラトの指標は、米商務省が情報産業統計を発表する際の準拠枠となっており、同様にOECD(経済協力開発機構)の統計にも採用され現在の国際比較の基準にもなっています。

ここでペティー・クラーク的産業分類の一例に準じて、マーク・ポラト的情報産業分類の一例を図2-2に示します。

写真を拡大  図2-2 ペティー分類を通して見るポラトの分類

ペティー・クラークの場合、情報(知識)関連機器の製造(例えば、情報関連製品としての文房具から計算機まで)は〝モノの生産〟として第2次産業に分類されますが、マーク・ポラトの分類では情報(知識)関連機器の製造は〝情報(知識)の生産〟として「情報(知識)産業」として扱うことになります。

つまり彼のいう「情報(知識)産業」としてのポジショニングは図2-2に示すように第2次産業と第3次産業とが共有する知識部分を占める範囲となり、モノ(物財)というもの全てが情報(知識)というカテゴリだけで無理なく一元化されない限り、今日的にはアンバランスな分類構造となることは否めません。

これら既存のペティー・クラーク方式と、マーク・ポラト方式の各産業分類から次のことが理解できます。

・ペティー・クラーク方式の問題点

分類不能となる産業が多く生まれており、今日の経済実態を十分に捕捉できない不備のある分類構造となっています。

例えば、遺伝子工学をはじめとするバイオテクノロジーは、考慮されていません。

・マーク・ポラト方式の問題点

「情報(知識)」という一つのカテゴリだけに特化することによって分類できない産業が生まれアンバランスな分類構造ができ上がっています。

例えば、DVDやCDの原材料であり自然からの採取物である石油(鉱業)、魚(漁業)、野菜(農業)など。