【前回記事を読む】第1次産業といえば、農業・林業・漁業 では、2次・3次産業とは?

第1章 「新産業文明論」 Ⅰ ─産業分類の歴史と現状の課題─

第1節 産業分類について

1.歴史と諸説

(4)1941年 ─ ぺティーとクラークの産業分類

但し、「ぺティー・クラークの産業分類」について一般的には産業の分類はそれを使う目的によって最適なものを決定しますが、彼らの分類理論は公益事業の資本集約的な産業も、飲食業の労働集約的な産業も、教育の知識集約的な産業も、同一に第3次産業に含むといった雑多なくくりで単純化することについては、批判があり今日では、彼らの考え方を参照しつつも日本標準産業分類では分析目的により産業の組み替えなどを行う傾向にあります。

やがて20世紀後半にインターネットが勃興し、さまざまな資源と同等の価値を有する「情報(知識)」が中心になる情報化社会が到来します。この「情報(知識)」に注目した産業分類論を示したのが米国のマーク・ポラトです。

(5)1977年 ─ マーク・ポラトの産業分類

マーク・ポラトは、産業界では「モノ」の生産よりも「情報(知識)」の生産のほうがより大きな付加価値を生み出していることに注目しています。彼は1977年に著した『情報経済入門』の中で産業は図2-1に示すとおり最終生産物によって第1次情報部門(市場内)、第2次情報部門(組織内)、非情報部門(物財生産部門)の3つに分類できるとしました。

写真を拡大 図2-1 マーク・ポラトの産業分類連関図

第1次情報部門とは市場で情報(知識)を生産または流通させる産業(通常の意味での情報サービス産業)です。

例えば、1.情報財製造業、2.情報財の卸小売業、3.情報流通(通信)産業、4.情報処理・伝達サービス、5.調査産業、6.研究開発・発明産業、7.リスク・マネージメント業(保険)、8.情報活動への支援施設、9.政府活動の一部(教育・郵便など)が該当します。

また、第2次情報部門とは政府や民間組織で情報(知識)を生産する部門をいいます。

例えば、1.政府や非情報企業内部だけの機密情報として生産する機密情報サービスの部門、2.研究開発やデータ処理、管理、会計などの部門で生産する産業情報サービスの部分、3.OA(オフィスオートメーション)化、FA(ファクトリーオートメーション)化などの産業内基幹業務の効率化を図る自動化情報サービスの部門がそれに該当します。