そして非情報部門(物財生産部門)とは政府や民間組織でモノ(物財)を生産する部門です。
自動車を例にして非情報部門としてのモノと情報部門の情報財との関係を説明すると、モノとしての自動車生産の研究開発・広告・社内教育・管理などに携わる情報労働者の雇用経費や情報財の減価償却費などの経費情報は、市場では取引されない「第2次情報部門」の情報サービスであり、自動車という「モノ」に組み込まれた隠れたコストとなるわけなのです。
1980年代になると、産業構造の知識集約化という視点に注目が集まるようになり、繊維産業では単純製品からファッションの情報性の高いブランド製品へ、サービス産業でも単純・反復労働からファイナンスやコンサルティングといったサービス情報の付加価値化へ、その他さまざまな業界が情報(知識)集約度の高い方向へとシフトするようになりました。
「モノ」の生産よりも「情報」の生産の方がより大きな付加価値を生んでいるのではという考え方が広まっていくようになりました。
『情報経済入門』の中でマーク・ポラトは、産業活動全体に占める情報(知識)産業の割合および情報(知識)産業が経済活動全体に占める貢献度を計量的に分析し、統計的に把握することがとても重要であるとしました。
さらに「情報」とは組織化し伝達するデータであり、その情報活動とは情報財・情報サービスの生産・処理・流通で利用する全ての資源を含むものと定義しています。ポラトはこの定義に基づきその産業連関表を作成しました。
その連関表に従い1967年度の米国経済の第1次情報部門の付加価値がGNPの25・1パーセント、そして第2次情報部門の付加価値が21・1パーセントを占めていると分析しています。
第2節 日本の標準産業分類の現状とその問題点
1.日本の標準産業分類とその課題について
(1)2つの産業分類論から見る日本標準産業分類の課題
ぺティー・クラークの産業分類を通して日本の産業構造を見た場合に、総務省統計局が発行する日本標準産業分類表を見るにつけ、第1次産業(農業・林業・漁業)、第2次産業(製造業・鉱業・建設業など)、第3次産業(商業・不動産業・サービス業など)の産業構造の分類定義について分析目的により産業の組み替えなどを行ったとはいえ定義そのものに無理があるようです。
例えば、調理がなぜ第3次産業に限定されているかは不可解です。なぜならば、魚を捌く行為一つをとってみても、その行為は漁村の浜辺で捌けば第1次産業となり、水産加工場で捌けば第2次産業、レストランの厨房で捌けば第3次産業と本来そうなるはずですが、調理は全て一義的に第3次産業として分類します。
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