第1章 ヒューマンエラーはなぜ起こる

5、具体事例

〈事例2;名前の確認ミス〉

あなたは、郵便局の窓口でお客様対応の業務を担当しています。この仕事を担当して、もう5年になり、通常の業務については、やるべきことは全て把握しているつもりです。

今あなたは、新人の木村めぐみ(仮名)を実際に窓口に座らせ、オンジョブトレーニングを行っているところです。フロアの奥では、郵便局長と先輩の女性1名が各自の業務を行っています。

この時、近くに住む山崎徹(仮名)が通帳を更新するため、郵便局にやって来ました。山崎から「現在使っている通帳の記入欄がほぼ埋まってしまった。これから新規の仕事を始めるので、この機会に通帳を新しくして、その仕事に関係するお金のやり取りを全て新しい通帳に記載しておきたい」という申し出がありました。

通帳の利用条件を山崎の希望に合わせ設定するなど、手続きとしてはよくある案件で、あなたにとっては慣れた業務です。隣の郵便物の発送窓口では、新人の木村めぐみが少し戸惑いながら顧客の対応をしています。

木村めぐみはまだ配属されてから3か月で、かなり仕事にも慣れてきたところですが、今行っている処理が初めてで自信がないためか、あなたに対して頻繁にアドバイスを求めてきます。あなたは、自分の業務と並行しながら彼女の教育を続けました。