【前回の記事を読む】「なぜここに?」学校の中にある、一見邪魔な構造。屋根を支えるにしても、もう少し別のところに作ってもいいが…
第二章 学園の中で宝探し?
柱を取り囲むように螺旋状に降りてくる植物の中に、アラビア数字が見え隠れしながら一定間隔で出てくる。これは何かを表しているのか?
皆が集まっての報告でも、やはりあの邪魔な柱の話題になった。
手前左から時計回りに、一番から六番の花弁にそれぞれ一本ずつある柱。皆わいわいガヤガヤ話していると、陽が持てる知識を披露してくれた。
「あの柱の漆喰の鏝絵(こてえ)に描かれている植物は、ウィリアム・モリスが壁紙などの装飾に好んで使っていたアカンサスだと思う。
アカンサス自体は地中海地方に自生する鋸歯状(きょしじょう)の葉を持つ植物で、古代ギリシアのコリント式柱頭装飾に用いられるなど至ってオーソドックスな植物であり、現在でも頻繁に使われる植物文様の一つである。
ただアカンサスの中に果実や花の絵、文字を入れ込んだ物は残っているが、アラビア数字を包み込むように描かれた物はなかったと思う。
ケルズの書というケルト文様による装飾された福音書の中にアラビア数字ではないが数字が入り込んだ物があったような気もするが、定かではないなぁ~。だからと言ってこれが宗教関係かというと、どうもそれは違うように思うのよね。ともかく数字を順に拾っていこう」
「やっぱり大学生は、聞いたことがない人物名や全然知らない書物の名前を知っているんだね。よくわからないけどすごい。それじゃあ私らは指示通り頑張るぞ」
柚子の感嘆と気合にこたえ、おーっとばかりにそれぞれ散っていく。
そこに柘植くんが私に小声で聞いてくる。
「渡辺さんのこと大学生ってどういうこと?」
「いろいろあるのよ。落ち着いたら話すから今は宝探しをしよう」
「わかった。後で聞かせて」
時間が経ち報告文を頑張っていた颯太も呼び戻し、全員参加で脚立を持ってきたりと、忙しく立ち働いた。
その結果、六カ所のところから出てきた数字は十六桁のランダムなアラビア数字だった。数字の並びは上から拾っていった。果たして正しいかもわからないが、ひとまず書き記した。
「数字のことを考える前に、花心にあたる厨房部分を見てみよう。冷蔵庫の後ろや食器棚の後ろなんかも。男子たちで少しずらしてよく見てほしい。女子はその他の細々したところをくまなく探して」
柚子はそう言うと厨房に入り、男子は冷蔵庫を動かそうとしたが、業務用の物なのでちょっと重さがきつかったみたい。
三人がかりで何とか動かしたが、扉があるとか怪しげな文言が書かれていることもなく、また元に戻すことに。
手が痛いだの今動かしたのに直ぐに戻すなら最後にしてほしかっただのと愚痴っている。その間も女子は壁、天井、柱、扉と触りながら見ていく。と奥まったところに小さな扉がある。野菜などのパントリーかとも思ったが鍵が掛かっている。それもいやに大きな南京錠である。