浩が失敗だ! と思った時にはもう目の前に男の手がグーと伸びてきて、浩の上着に手を掛けた。
浩は必死になって手を後ろに回し、スタンガンを掴んで引っ張り出しながら相手の腹の辺りに身体ごと突っ込み、ハンドガンを押し付けてスイッチを強く握った。「ジッ!!」という音がして150万ボルトの電流が男の身体を走り、一瞬で男は目を白くしてその場に崩れるように気を失った。
浩もその場に座り込んで「はあ! はあ! はあ!」と何度も息を吐いた。
良が直ぐ近くに寄り、
「浩さん! よくやりましたね!」
と言った、浩は未だ「はあ! はあ!」と息をしながら心臓をドキドキさせ頷いた。
良が持って来たバッグの中からビニールの結束バンドを取り出して男の手を背中側へ回し、結束バンドで強く締めた。
足首も結束バンドで締めると何かに気づいて、改めて男の顔を覗いた。そして
「あ!」
と言って吃驚した顔をして、
「余だ!」
と声を出した。そして、
「そうか! こいつが動いていたか!」
と呟いた。そして更に手首と足首の結束バンドを二重にした。
「田賀さん! この男は、C国の裏世界『黒社会』四天王の一人で通称『青』と呼ばれる『青龍』に仕えている『余鍾馗』という大変危険な男です。新宿のアジアンギャング『ドラゴン』の全てを仕切っている男です。私がこの男と顔を合わすとちょっと不味いことになるので外の離れた処に居ます。直ぐ警察を呼んでこの男を引き渡してください。
私は必ず外から部屋の状況を見ていますので心配しないでください。警察へは、『ノックがして届け物と言ったので開けたら急に押し込んで来た!』と言って入口で滑って上から落ちた角材が当たってのびた、と話してください。ブリーフケースは全て今の状態でそのままお持ちください」
良は倒れた男の足首を触ると其処からピストルを取り出して見せ、又其処へ戻した。
「警察が来たら直ぐこのピストルを見せてください。すると警察も本気になって聞き、気を付けて引っ張って行くでしょう」と言った。
良は、「直ぐ警察をお願いします!」と言い、靴を履いて出て行った。
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