【前回の記事を読む】社長令嬢の魔の手から逃れ、新生活を始めた私たち。だが数日後、玄関に立っていたのは――
不可解な恋 ~彼氏がお見合いをしました~
「命?」
今度は私と俊雄さんの声が重なった。
「そう。俊雄さんとの愛の結晶ですわ」
それって、まさか……子ども?
嫌な汗が頬を伝う。俊雄さんの方を見ると、そんなはずはない、と断言した。
「ちゃんとゴムをしていたから、それはあり得ない」
「ふふ、実はゴムの先に、針で穴を空けておいたんですの。お父様からその方が良いって言われて」
「既成事実を……作ろうと?」
「作ろうと言いますか、今はしっかりとここにいますの」
そう言って、悠希さんは自分のお腹を優しくさする。
何て事……!
「私は俊雄さんと、この子を育てたいと思っておりますの。裁判だのそんなの関係ないですわ」
「くっ……!」
俊雄さんは言葉が出ないようだった。それもそうだろう。もう最悪のパターンだ。私も何と言ったら良いのか分からず、言葉を失う。
「さぁ、俊雄さん。選んで下さい。亜紀さんと離婚されて私と共に生きるのかどうかを」
一歩一歩悠希さんが俊雄さんに近付き、選択を迫る。
「か、考えさせてくれないか」
「俊雄さん!?」
俊雄さんが迷っていると知ってショックだけど、まさか赤ちゃんができたなんて、私も目一杯動揺していた。
堕ろして、なんて私の口からは言えない。きっと優しい俊雄さんも言えないだろう。
なら、悠希さんの言うように、私達は別れないといけないの? せっかく幸せな光が見えたと思っていたのに……!
「……今日はこれで失礼しますわ。では」
悠希さんが家を後にした。