【前回の記事を読む】注目を集めた女力士。彼女の対戦相手は経験も豊富で、身体も一回り以上大きかったが、勝つことが出来なかった。その理由は…
二
「ああ。ヨシちゃん久しぶり。元気にしてた? ちょっと女将に代わってもらいたいんやけど、ええかな」
どうやら、桜田部屋に電話していたようである。
一拍置いて口調が変わる。
「ババア。借金する前に相談せんかい。子供らに不憫な思いさせやがって、何っ、特に苦情は聞いてないやと。阿呆んだら。この子らが気い使こうてるんやろうが、お前ゆう奴は、昔から相撲以外は何させても、あっ。切りやがった」
望月は、ゆっくり息を吐いて、道長に話す。
「道長君、部屋の借金の全額を教えてくれるか。全部、儂(わし)が一旦引き受ける。返済期限は設けへん。利息無しで返してくれたらええから。それと、後援会はやっぱり無くさん方がええな。会費を年百万円くらいにしたらええ。儂は継続入会するわ。その会費で返済いうことでええか」
「でも、それだと返済するのに八十年くらいかかりますよ」
「それはかまへん。右近に払い終わるまで死なさへんて、言うといてくれるか」