第3章 迷い、挑戦
――翌日――
大輔は大阪から自宅へ帰るため新幹線に乗っていた。移動中、スマホで声優の専門学校、養成所などの募集要項を見ていた。ページを見ては閉じて、また見ては閉じてを繰り返していた。
「何やってんだよ俺……」
挑戦したい思いはある。高校生時代のころよりある。ただ、26歳の自分が今さら挑戦したところで……。演技の経験もないし、挑戦する場合は仕事を辞めなければならない。リスクがあまりにも大きすぎる。
「やっぱり無理だ……」
そう思ってSNSを見ていたその時、ある広告が目に入った。
――あなたのifストーリーを一緒に完成させませんか?――
それは「if」という声優事務所の育成プロジェクトの募集要項だった。社会人でも働きながらのレッスンが可能とのことだ。その説明会が日本各地で開催されている。偶然にも来月は大輔の地元の隣町で開催される。
「……行ってみるか」
大輔は説明会の申し込みサイトをクリックした。