大輔の以前からあった心のモヤモヤがさらに曇ってしまった。
――もし、20年前の自分が見たらどう思われるだろう?――
――もし、明日死ぬことが確定しても後悔はないだろうか?――
――沢崎大輔よ、いつからこんなに惰性で生きるようになった? もっと尖っていただろう――
このままただの物流センター社員でそこそこの出世をして普通の人生を歩むか? それとも――
大輔は迷っていた。答えが出せない……。ただ、今言えるのは……。
「やっぱりこのままじゃダメだ……よな」
大輔はスマホのカメラロールを開き、昔の撮ったある写真を探していた。
「あった……」
探していた写真は、高校3年生の春に撮った声優学校の校内の写真。オープンキャンパスで都内の声優・役者の専門学校に行っていたのだ。大輔はかつて声優になりたいと思い、高校を卒業したら専門学校に入学したいと思っていた。
だが、両親は絶対反対すると思い結局就職した。なりたい人がなれる職業ではない。それで食っていける人なんてごくわずか。プロ野球選手になるくらい難しいことだ。
「どうせ俺なんか無理だ」
そのころの大輔はある理由で自分に自信が持てないでいた。そう思って、声優になる夢は挑戦する前に封印した。
「そのつもりだったんだけどな……」
大輔は8年前に撮った写真を見てそう言った。しかし、より一層モヤモヤした気持ちになった。封印は完全にできていなかったようだ。