利恵子はその前、主治医との面談時に「先生、私、後何年生きられますか?」と質問していた。私は答えを聞きたくないと思い、「そんな事先生に聞いても分からないよ」と逃げた。
主治医は何も言わなかった。結局31ヶ月の命だった。他府県のがん専門病院にもセカンドオピニオンを取り、また、治験にも応募した。応募原稿は全て私が書いた。
【応募原稿 2024年7月5日】
「私(奈良市在住、73歳、女性)は2年前(2022年4月4日)に奈良県にある天理総合病院で大腸がん(虫垂がん)腹膜播種ステージ4と診断されました。
切除は不可能と言う事で、治療当初は標準治療で、フォルフォックス(オキサリプラチン)、フォルフォリ(イリノテカン)、分子標的薬(ベバシズマブ)等の投薬を行い、今年の2月(2024年)、遺伝子パネル検査の結果、免疫チェックポイント阻害薬キートルーダがヒットして3月26日より投薬(3週間毎、都合3回済み)を実施しています。
然しながら、治療効果が捗々しくなく、両肺にも転移が見られます。7月2日(火)に、4回目のキートルーダ投与する為に天理の病院に行きました。検査の結果、腫瘍マーカの数値(CA19-9、2734、CEA36.5)白血球も28600(と大幅に増加していました。
主治医の判断でキートルーダの効果が見られないので、再度アバスチン、ロンサーフ治療に戻す事になり、今日(7月5日)に至っております。
付きましては、当院の大腸がん腹膜播種積極的切除の臨床試験に応募したく考えております。
セカンドオピニオン(今年の5月13日に当院のセカンドオピニオンの予約をしましたが事情があってキャンセルしました。
その時迄の治療履歴データは当院へお送りしております)が、再度必要でしたら、現在天理の病院で治療中の更新データを持参若しくは、お送りするなり手続きさせて頂きます。
取り敢えずは、応募基準等、お答え出来る範囲内で応募の可否をメールして頂ければ有り難く存じます。何卒宜しくお願い致します。」
だが応募基準を満たす事無く、治験は受けられなかった。闘病は2年7ヶ月にも渡った。
次回更新は12月26日(金)、11時の予定です。
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