インターハイには3人しか行けなく、部内争いが激しかった。自分は3年の時もそこには入れなかった。悔しいと言うよりせっかくいろいろ教えてくれたコーチや毎日お弁当や、その他全てのサポートをしてくれた親に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

自分だけで歩めた道のりではないだけに後悔だけが残った。完全に自分が1番になることしか頭になかった。まあよく考えれば自分を出してこなかった自分が初めてここまで自信を付けることができた。結果は良くはならなかったが良い道のりを歩めたと思ってる。

が、それは今だからそう捉えてるのであって、その時はもちろんそんな風にポジティブに捉えることなんてできなかった。そんな心が死んでいる中行った次の日の朝練、インターハイのメンバーが皆んなの前に並んで意気込みを発表していた。

そんなのどーでも良くて聞いてなかった。一生懸命取り組んだけどダメだった。心が地の底の底の底、そんな深く沈んでいた自分にコーチから声を掛けられ呼び出された。

また説教じみた事を言われるのか、ネガティブな事を言われるのは分かり切ってコーチのもとへ向かったら、コーチから『お前をインターハイへ連れて行ってやれなくて悪かった』と言われた。

想定していない言葉が耳に飛んできて不意打ちを食らった。その衝撃から安堵に似たような気持ちになり涙が溢れた。

個人プレーだと思っていた陸上、だからこそ自分が勝った時は自分という個体が賞賛される。その逆も然り。インターハイへ行けなかったのは確実に自分が原因だと思っていたのにコーチから謝ってきた。この瞬間に自分の3年間は無駄ではなかったと思えた。人生でこんな経験1回でもできるだろうか。

目標の場所へは行けなかったとしても、腐らず目の前の事を一生懸命やっていればそれまでの取り組みや過程を必ず見てくれて、それを認めてくれる人がいる。そしてその経験は必ず今後の自分の背中をいろんなシーンで押してくれる。

これは今でも自信を持って伝えられる。忘れられない素晴らしい経験ができた。職場とか、学校で嫌な事あった時も、あの時ここまでキツかったけど頑張ってこれたからこれくらい平気とデコピンで飛ばせるくらいのメンタルはついた。

大事なのは全力で、この瞬間にできることをやっていくこと。それでダメならしょーがない、そういう時もあるって。ただ、全力でぶつかっていける人にしか出せない熱がある。その熱は必ず誰かの心に伝わっていく。思い切りぶつかって失敗するのが怖いかも知れない。

けど、中途半端な度胸で挑んで不完全燃焼するとそれは一生自分の中で後悔として残る。当たって砕けろという言葉があるが、もちろん誰もが皆んなそこで砕けたくない、けど一番ダメなのは怖がってぶつかる事もできず止まってしまう事。砕けられるだけ上等。

ここで砕けられて本当に最高だった。今までは楽して生きていく事が喜びだったり、そういうところにしか幸せは感じれなかったが、圧倒的な充実感は大きなプレッシャーや、きついけどでかい壁にぶつかってそれを越えようとしている時。

自分の強いメンタルは間違いなくこの3年間で形成された。

 

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