父との思い出は悲しいものでした

私が、生まれ育った環境は、神父様とは正反対の愛に乏しい家庭でした。父は寺の次男坊で、後は継がずに製薬会社に勤務していました。私が母の胎内にいた時、交通事故に遭い、片目を失明し、退職しました。

私は生まれて物心がつくまでは知りませんでしたが、父は私が小学校に入学する前から仕事に就かず、私に水泳をスパルタで教育していました。ただこの頃から、子供心なりに父の様子が、おかしいと思っていました。母が、父に「早く仕事見つけて!」と責め立てていたので、両親の喧嘩は絶えませんでした。父は、アルコール依存症になり、優しかった父が、私や弟に対しても荒れ果てて、叩かれることも日常茶飯事のようにありました。

私は父が大好きだったので、そんな父を不憫に思っていました。そんな父が32歳、私が小学4年生の時、アルコールが原因の急性心不全で亡くなってしまいました。私は、強い口調で責め立てていた母を、逆恨みしました。もう少し、父が癒されるまで待っていてあげれば良かったのにと……。こうしたことが、幼少期から私の情緒不安定で、ひねくれた性格を呼び起こしたのかもしれません。

一人親というのは、子供が口に出さなくても非常に寂しいものです。やはり両親の仲が良いと、子供も安心して、家庭内が明るくなると思います。しかし、今思えば、父そして母の気持ちがわかるし、仕方のないことだったと思っています。