第2章 平成のゴッドハンド 人生100年時代を生き抜くための健康と医療を語る

悪い医者にかかってはいけない

中村:病院やお医者さんの実態を知れば知るほど、悪い病院にはかかりたくないなと思ってきました。

溝口:悪い病院じゃなくて悪い医者にかかってはいけないということです。大学病院や総合病院にもいろいろな医者がいますし、小さい病院でも優秀な医者は存在しますからね。要は個人のスキルということです。最高学府出身の医者が膝の悪い患者にヒアルロン酸の注射を年間何十発(80発以上)も打ち続けたという事実もありますし。

中村:そうやって、すぐに注射を打つお医者さんがいますよね。

溝口:ヒアルロン酸の注射は3~8回ほどでストップすべきです。百歩譲って10回程度でしょう。それでも痛みが解消しないのであればヒアルロン酸の注射は止めるべき。なのに1週間に1回、2週間に1回、毎月1回、このスパンで打たれている患者もいます。こんな医者にかかった患者は気の毒としか言いようがありません。早く他の病院へ移り、膝の権威の医者に診てもらった方がいい。手遅れになるケースも少なくありませんからね。

中村:大手の病院と町中にある個人病院との大きな違いは?

溝口:それは圧倒的に設備の差と診療科目数(専門医数)の差です。如何ともしがたい、埋めようのない差です。まず資本力が違うのでこれに関しては仕方がない部分です。それ以外はさっきも言った通り、大手でもいい医者、ダメな医者がいます。小さいところでも大手の医者よりも優れている医者はいます。但し、何度も言いますが、優れた医者は本当に一握りしかいません。

中村:いい医者とダメな医者の見極め方は?

溝口:この本を最後まで読むことです。そして巻末に、見極め方の簡易チェックリストを載せていますのでそちらの方もご覧ください。みんな口に出さないだけで思っていることは大体同じなはずですよ。

これはある男性の実話です。

お尻から大腿骨付近にかけて痛みがあったため市立病院へ行ったところ、レントゲンを撮っただけで「異常ないですね」と言われる。しかしその後、その病院で5カ月間の治療を受けていたそうです。結果は痛みが増すばかり。私が治療内容を聞いたところ薬を処方されただけという。これでは治るわけがありません。改善もしません。私が診て下した病名は脊柱管狭窄症。急いで別の病院を紹介して精密検査をしてもらったところズバリの検査結果でした。