一方、襲撃チーム
「トラックの位置は現在、品川区を西進中。次のチェックポイントまであと3分」
リリーが端末の画面を指し示す。モニターには、輸送車列の動きを示すリアルタイムのGPSデータが映し出されていた。これらの情報は、基地内部に設置されたスパイウェアを通じて取得されたものだった。
「予測どおりの進行ルートだな」グリムが呟きながら、携行武器を最終チェックする。襲撃メンバーはそれぞれ戦闘服を装着し、暗視ゴーグルや通信機器を身につけていた。
「移動班、スタンバイ完了。こちらの車両も出発する」
運転手役のウルフがトラックのエンジンをかける。彼が操縦するのは市販車を改造した特殊車両で、見た目は平凡なSUVだが、内部には装甲を施し、電子機器を搭載している。
25時40分、トンネルの手前にある小さな駐車場。チームは事前に配置されていた。周囲には無人の自販機と雑木林があるだけで、人影は全くない。夜風が冷たく、木々のざわめきが聞こえる。
「タイムチェック」カイザーが無線で全員に声をかける。リリーの声が即座に返る。「目標は予定通り25時45分に到達する見込み。電波妨害装置の起動タイミングを正確に合わせるわ」
「ドローン班、準備状況を報告」
「準備完了。2機を飛ばしてトンネル出口で囮を展開する。妨害電波の範囲内で制御を維持する予定」
ドローン班の担当者が低く答えた。小型ドローンは音をほとんど立てずに飛行し、攻撃機能と監視機能を兼ね備えていた。
「戦闘班、配置に就け」