「今日の用事はこれだけですわ。早く俊雄さんを解放して下さいね」
服を着ながら悠希さんが言い、着終わると会釈をして私の家を出て行った。
私は何がどうなったのか、思考が上手く働かなかった。
悠希さんが家を後にして、しばらく思考が停止していたけど、次第にコトの意味を理解し始めてきた。悠希さんの体に付けられた沢山のキスマーク、それを俊雄さんが付けたとなれば、また関係を持ったという事であり、私を裏切る行為だ。
私はいてもたってもいられなくなり、俊雄さんに電話をした。
『もしもし、亜紀……昨日はごめんな、急な接待が入って』
「……その席に悠希さんもいたの?」
『社長秘書だから、いたよ』
「接待の後、悠希さんと二人で飲んだの? 今日、彼女が私の家に来たんだよ」
『え? 悠希さんが? それで、何か言って――』
「キスマークを見せられたの! 俊雄さんが付けたっていう……」
『……それは、お互い様じゃない?』
「え?」
『悠希さんから聞いたんだ。君の首筋の痣……あれは他の男性に付けられたキスマークだって。相手の男性の事も聞いた。デートしたんだよね?』
南君から悠希さんに皆伝わってる……?
鼓動が慌ただしく響く。
『亜紀が一方的に僕を攻めるのはおかしいと思うよ。どうしてその男性と関係を持ったの?』
「そ、それは……」
『……言えないの? 僕を裏切っておいて』