「苦しい、苦しい」と心臓の辺りを手で押さえながら絞り出すように声をあげた。

「家はどこですか」

「あっち、あっち」と指をさすだけで、それ以上言葉が出てこない。

「そんなに苦しいならば、救急車を呼びますよ。待っていてください」

吉岡はスマホで119番をかけ、救急車を呼んだ。

うずくまっている女性のまわりには、数人が集まってきた。中には持っていた水を差しだす若い母親もいた。

「名前はなんですか」

吉岡は尋ねた。

「リンダ、リンダ」

彼女は答えた。よく見るとどうやらアジア系の外国人らしい。

「在留カードは持っている?」

吉岡は再び尋ねた。

「持っていない」

「家にはあるの?」

吉岡は繰り返し尋ねたが、何度聞いても返事はなかった。日本語がよくわからないのか、体調が悪いから答えられないのかは判断がつかない。

そうこうしているうちに、救急車が到着した。救急車が到着した途端、集まっていた人々はその場を離れていった。

その場に1人残った吉岡は、救急隊員に聞かれた。

 

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