エッセイ 『毒親の彼方に[注目連載ピックアップ]』 【第17回】 袰岩 秀章 寝たいのは彼じゃない。本当は、わたしが抱かれたいだけなのかもしれない。寂しさを埋めたくて―― 【前回の記事を読む】「わたし、いけない子なんです。母が本当は大嫌いなんです。ほんとは彼のことは好きでも何でもないのに……」「彼のところに行くと彼は求めてくるんです。いやって言えないでしょ? 他に行くところがないんですから。でもいやって言っても、彼はわたしのことを追い出したりはしません。そういうことはあったし、そういう人なんです。そんな悪い人じゃないんです」「いけないのはわたしです。彼のこと好きで…
小説 『迷いながら揺れ動く女のこころ[注目連載ピックアップ]』 【第5回】 松村 勝正 入浴介助中、ラグビーで鍛えたご主人の胸厚の体を擦るのは、異性に接する楽しみの一つだった。――奥様に対して敵対心はないが… 【前回の記事を読む】家政婦になったときから、ご主人を異性として意識したことはなかった。しかし昨晩の出来事で、奥様に対する小さな嫉妬心が芽生え…美月が悠真の車いすを押して食卓まで来た。「私の事務所までいい香りがしていたよ。早く食べたいね」とテーブルの指定席に陣取った。「匂いだけは本物に似ていること間違いなし」と美代子が匂いを強調した。まだ試食してないから味の方は、食べるまでの楽しみということか。悠…