【前回の記事を読む】「よく来たね。お嬢さん」——私はドキドキしていた。ブザーを押すと、彼がすぐにドアを開けて顔を出した。中へ入ると…

「じゃぁ、乾杯だ。お誕生日おめでとう!」

「ありがとう」

私達は、グラスをカチッと合わせ、一緒に飲んだ。

「どうぞ、食べて」

「いただきます」

と私は手を合わせると、スープをスプーンですくって飲んだ。美味しいコーンスープだった。

「美味しいわ!」

「そうかい。良かった」

次にハンバーグを食べ、エビフライも食べた。もの凄く美味しかった。サラダは、レタスと、刻んだキャベツ、それにポテトサラダで、ドレッシングが絶妙の味で、どれも本当に美味しかった。

「君が美味しそうに綺麗に食べてくれて、うれしいよ」

「だって美味しいんですもの!」

「良かった」

音楽が第四楽章になって、食事も終わりになった。また神矢は冷蔵庫へ行って、綺麗なガラスの器に入ったプリンを持って来てくれた。

「まぁ。デザートまで! ありがとう」

「これは買って来たんだ。どうぞ食べて」

神矢は甲斐甲斐しく、もてなしてくれた。

「美味しかったわ」

私がプリンを食べ終えたと思ったら、またキッチンへ行って、何か用意をしてくれているようだった。しばらくすると、トレーに乗せて、二つのコーヒーカップを運んで来てくれた。

「どうぞ」

私は香りを嗅いだ。

「コスタリカコーヒーね!」

「そう。僕はマスターから豆を買っているんだ。僕の朝は、毎日コスタリカだよ」

「ありがとう。美味しいわ。……コスタリカって、どんなところかしら」

「僕も行った事はないけど、中央アメリカの南部で、北海道の半分くらいの小さな国らしいよ。北東はカリブ海に面して、南西は太平洋に面してる。自然が豊かで、確か環境保護先進国だったと思うよ」

「ふーん。世界には色んなところがあるのね。私はどこへも行った事がないけれど……」