【前回の記事を読む】まさか実の娘を手籠めにするとは…天地がひっくり返るほど驚き足腰が立たなくなってその場にへたり込み…
第一章 壊れた家族
「あなた、自分がしたことわかってんの?」
「はいはい」祐一は茶化した。
「もう、あなたとはいられない」
「何言ってんだ、お前バカか!」
「それで恵理はどこにいるの?」
「知らん」
「恵理ー!」智子は2部屋の小さな家の中を狂ったように探した。
「まだ帰ってないようだよ」
「あの子は出ていったの?」
「ああ。泣きながらね」
「やっぱり、あんたは娘を犯したんだ」
「まあね」
「恵理はあんたに犯されたショックで家を飛び出したんだ。それで……自殺してたらどうすんのよ!」
「まさか?」
「私はあんたの暴力に耐えてきた。私なら何とかなるけど、娘には」
「だからどうだって言うんだよ」祐一は完全に開き直っているのだ。全く話が噛み合わない。
「もう2度とあの子を家にいさせない。役場には電話して辞めさせる。島から脱出させる」
「馬鹿かお前は。恵理が働いて家に生活費を入れてくれるようになるというのに、何を考えてんだ」
「このまま恵理が家にいれば、絶対、あんたはまた手を出す」智子は瞬時に決めた。恵理は東京に行かせる。そして2度と祐一に会わせないために住所も教えない。と決断した。
「俺が意地でも恵理に役場を辞めさせない。うちの金づるじゃないか!」そう、祐一は恵理を金づると共に性的奴隷にするつもりなので智子の暴走を止めないといけないのだ。
酔いも手伝ってまた智子に暴力をふるった。「智子も恵理も絶対、従わす!」こう言って智子を殴った。
「痛い痛い」智子は殴られて痛い中、瞬間的に思いついた。
「もうあんたとはいられない。恵理を連れて家を出る」
「そんなこと俺が許す訳ないだろう」家の収入の半分以上を農業で稼ぐ妻と、4月以降働いて生活費を入れてくれる上、性的奴隷にする娘を同時に失うなんてあり得ないと思って、1発殴ったら2発3発と、止まらなくなった。
小川家は修羅場と化した。そんな大騒ぎの中、野口と話して少し心の傷が緩和された恵理が帰ってきた。玄関の鍵を開けドアを開くと祐一が智子を床に仰向けにして足で蹴りを入れている。