ジョー君、七歳に、私も五十歳になった。
ある日の午前中、電話が鳴った。高木さんだ。嫌な予感。
「…はい、山岡です」
「高木です。今、副社長が視察先の、取引先でケガをしまして……救急搬送されています」
「えっ! 山岡は!」
「緊急手術だと思います。命に別状はなく、足を切って……それで、山田運転手を自宅にお迎えに行かせます。入院になると思いますので、ご準備をお願いいたします。奥様も準備を。一時間ぐらいでお迎えに行けます。副社長は大丈夫ですから」
「分かりました。ご連絡、ありがとうございます。準備して待っています」
ドキドキが止まらない。そうだ、幸也さんに電話。
「香子さん、珍しい。どうしたの?」
深呼吸をして、
「丈哉さんがケガして、今、救急車で搬送されて、手術するの。今、迎えを待っている」
「えっ! 大丈夫!」
「ええ、足のケガだから大丈夫、って秘書の高木さんから連絡があったの」
「分かった! 僕も向かう。両親には後で話すよ」
「ええ、その方がいいわ。後で」
幸也さんに話したら、少し落ち着いた。急ぎ、シャワーに入って、三日分の着替えを準備した。一時間が長い。山田さん、早く着て。