「おおー、お願いいたします。お見舞いとお詫びで伺ったんですが、こんな話になってしまいました。山岡さん、すみません!」

「いいえ、きっと、御縁があったんですね。お父様が御縁を作ったんですね。香子、御縁を大切にしなさい。協力してさしあげて」

「ええ、嬉しいです。ワクワクします。私でよろしければ、協力させてください」

「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」とお帰りになった。翌週、お店に伺う事になった。

 

月曜日、ななろう屋に向かった。立派なビルで、たくさんの職人さん達が迎えてくれた。照れ臭い。

「今日は、よろしくお願いいたします」と職人長が挨拶をしている。

工程の説明と分量、食材を説明した。さすがプロ、早いし、美しい。午前中で終わった。

「大山社長、これで良かったでしょうか」

「ええ、大変分かりやすくて、素晴らしいです。洋菓子も作りますか」

「ええ、好きで少し作ります。でも夫が和菓子が好きで、和菓子が多いです」

「お料理全般、お好きなんですね」

「本当はお料理の仕事をしたかったのです」

「センスがありますからね」

「本当ですか? 嬉しいです」

「奥様、ワサビおはぎの名前を考えたのですが、香おはぎと命名したいのですが、よろしいですか?」

「香とは、私の名前からですか? 凄いです。嬉しいです」

来週には新製品として発売するそうだ。楽しみ。