【前回の記事を読む】毛布にくるまって寝ていた彼女をベッドに運んだ――寝返りをして俺の胸元に顔を埋めた彼女に心臓がバクバクと音を立てはじめ…

第三章 嫉妬

俺は今日も一人で食事を済ませた。珍しくアルコールを浴びるように飲んだ。マンションに戻ると、沙優がベッドにいない。また部屋かと思いながら覗くと、やはり毛布にくるまり寝ていた。

そんなにも俺とベッドを共にしたくないということか。俺はアルコールのせいか抑えていた気持ちが溢れ出した。沙優をベッドに運び、抱きしめた。目を覚ました沙優はビックリした様子で俺を見つめた。

「南條さん、あの……」

「沙優、どうしてベッドで寝なかったんだ」

沙優が何か言葉を選んでいる様子だったが、俺は構わずキスをした。

「ん、ん」

唇から首筋へと移動し、沙優の腕を頭の上でクロスさせた。

「南條さん、どうかしたんですか」

「理由がなければ、沙優を抱けないのか」

「抱くって」

俺は沙優の身体に自分の身体を重ねた。

「南條さん、酔ってるんですか」

「お前を抱きたい」

「えっ」

次の瞬間、あまりアルコールが強くない俺は沙優の上にのしかかるようにして眠ってしまった。俺としたことがなんたる失態だ。

そのまま朝を迎えた。頭が痛い、気持ち悪い。俺はどうしたというんだ。全く記憶がない。

「南條さん、重いです」

「沙優」

俺は慌てて飛び起きた。

「すまない、俺は……」

記憶を辿るが全く覚えていない。

「お酒飲んだのですね。そのまま倒れ込んで眠ってしまったんです」

じゃ、なんで沙優の上に。この体勢は沙優を無理やり抱こうとしたのか。

「俺は酔った勢いで、沙優にいやな思いをさせたんだな」

「そ、そんなことはありません」

沙優は顔を真っ赤にして俯いた。

「彼女さんと喧嘩でもしたんですか」

「彼女」

「昨日も彼女さんと会っていたんですよね」

そうか、俺が帰りが遅いと彼女と会っていると思い、ベッドを空けておいてくれるのか。

「ここ最近、彼女とは会っていない」

「そうなんですか。じゃあ、お食事は一人でされているんですか」

「ああ、一人の方が気が楽だからな」

「じゃあ、私が作りますからおうちで召し上がっては如何ですか」

「俺との食事は嫌ではないか」

「私は南條さんと一緒に食べたいです。一人だと寂しくて」

「沙優」

「あ、その、寂しいというか、つまらないというか、え〜とっ……」

沙優はしどろもどろになり、答えが見つからず、戸惑っていた。

「それなら明日から一緒に食うか」

「えっ、本当ですか、私と一緒で大丈夫ですか」

「当たり前だ」

沙優は満面に笑みを見せた。次の日から夕食は沙優と食べることになった。