ドアノブがガチャガチャ鳴る中「来ないで!」とベッドの上で私は膝を抱え、泣きながら震え、その音に怯えながら小さく丸くなるほかなかった。
あの時の感触、あの日味わった恐怖感は今でもリアルに覚えている。
25年以上が経った今でも消えることはない。
その後の私は、その出来事をキッカケに生活も何もかもが一変した。
まだ当時10歳だった私は、あの出来事はなんだったのか、何を意味しているのかすら分からず困惑した。
ただ、人に言ってはいけない何かが起こったということだけはハッキリと分かった。
そして私は、学校へ行けなくなった。なぜだか、朝がくるのが怖い。
あれだけ大好きだったはずの学校生活。あの日から、行けない理由も何も分からず登校拒否を始めた。
皆勤賞であった私は、風邪のふりをしたが両親はそれを疑わなかった。
しかし、体調不良の欠席も長く続けば、初めは優しかった父も母も、さすがに疑問を持ち始めた。
そこからは、新たな地獄の始まりだった。
休むと、母も父もとにかく冷たかった。
理由を聞いても何も答えられない私を、父は一方的に責め、怒鳴り始めた。
母は、学校を休んだ日は会話すらしてくれなくなり、家にいることが苦痛に変わっていった。
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