子供が出来た。結婚からは七年経ち、現在子供は六歳である。
「お父さん、お父さん」
「何だい、ルートス」
「僕、大きくなったらお医者さんになりたいんだ」
「そうかい、お父さんはね、ルートスには学者になって貰いたいと思ってるんだ。
文学者なんかはどうだい?ルートスは本が好きだろう」
「でもねお父さん、僕お医者さんになって人を救いたいんだ。
本を沢山読んでいるのも、頭が良くなってお医者さんになるためなんだ」
「そうなのかい、でもルートスが好きなのは勉強の本よりシェイクスピアだろ?」
「シェイクスピアは僕は本当に好きなんだよ。あんなに綺麗な言葉の並びは見た事がないし、叙述全てが芸術なんだ。そう僕は思うんだ。だけど僕にはシェイクスピアやゲーテの文学を研究して、それを仕事にする気はないんだ」
「僕はそう言う形而上学的な事を生業とするのも、とても意義ある事だと思うよ」
僕はルートスがマフィアになるのを嫌がった。そして、勉強をルートスにさせた。マフィアは僕の代で潰すか、部下からボスを出す気でいた。
なので、ルートスは活き活きと勉強する事が出来た。アンナも僕の考えに同調し、ルートスの勉強を後押しした。
ルートスは医者になるのが夢だった。何故なら、医者の仕事は人を助ける一番直接的な職業だったからだ。ルートスは僕の良い面ばかり受け継いだ。暖かく綺麗な心だ。