俳句・短歌 句集 母娘 2020.09.09 句集「地雷の如く」より三句 地雷の如く 【第12回】 馬場 美那子 母ひとり、娘ひとり、恋たくさん。 「おひとりさま」とその母の13年を綴るドラマティック川柳句集。 自由奔放にたくさんの恋をしてきた「おひとりさま」な娘。たったひとりの肉親である母は、夫に先立たれて長かった。 ほかに身寄りのない二人なのに、喧嘩して、諦めて、また喧嘩して。恋はすれども、母は捨てられぬ。母への情愛と異性への恋心との狭間で揺れる心情が、おかしみと哀しみを込めながら五七五の17音字に込められた「絆」の物語。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 悲しみが地雷の如くそこにある 私もいずれいく道 老・病・死 子の為に親はガンバルひーはーふー
小説 『迷いながら揺れ動く女のこころ』 【最終回】 松村 勝正 主人は下半身麻痺で、車いすの生活です。障害を承知で結婚しました。でも、私は何もしません。入浴介助からリハビリまで… 「そうよ、山形さんも注意遊ばせ。二人で篠田、山形と苗字で呼び合うのはいかにも他人行儀ね。これからはお友達になったのだから、下の名前で呼びましょうよ。私は『陽子』。山形さんは?」「私は『美代子』と言います」「素敵な名前ね。美代子さんは青葉台でしたわね? 長いんですか?」「まだ二年程です」「お子さんは?」「いません。主人と二人きりです」「ご主人のお仕事、伺ってもいいかしら?」「主人は在宅で個人事務所…
小説 『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』 【第30回】 行久 彬 2時間あまりの愚痴に絶妙のタイミングで相槌を打つ彼女――流した涙もそっと差し出されたハンカチで拭い… ワインは商工会の助力もありボツボツと旅館、ホテルからも引き合いが来た。商売は順調に滑り出したかに見えた。しかし、予期せぬことが起った。貯蓄蔵を建ててまもなく鵜方に全国規模で展開する酒販売のチェーン店が進出して来たのだ。そのため、近郷の旅館、ホテルはワインだけでなく日本酒、ビールも皆そこへ仕入れを切り替えた。チェーン店は大規模一括仕入れにより値段が安く、とても地元の酒店が太刀打ちできるものではなか…