今回の旅はレンタカーを使っての一人旅だ。10月7日の9:00に女満別空港を出発し、道東を巡り、10月9日の18:00に女満別空港に帰ってくる。この旅は「角が立派なエゾシカに会う」ことが主目的。

数年前札幌に単身赴任中は、道東を旅行するのは夏場が多かったが、エゾシカの角は毎年3月に生え変わるので、夏場に出会う雄のエゾシカの角は未だそれほど成長していない。角が立派に成長したエゾシカに会うためには、秋から冬にかけて彼らの生息地に行かなければならないのだ。

天候の予測は大雑把に言えば7日は晴、8日雨、9日晴。天気が悪いと「神の子池」の綺麗な絵は望めないので7日に訪問し、午後、野付半島に入ることとした。

野付半島は、知床半島と根室半島の中間辺りにある蟹の手のような形の砂嘴。野付湾は湿地保全に関するラムサール条約に登録されている。海水に侵食されたトドマツが立ち枯れ、荒涼とした大地が広がるトドワラではネイチャーセンターがある地点で海抜0m……。少し高い波が来れば、半島全体が飲み込まれてしまいそうなかぼそいところ。

数年前家族で訪れ、エゾシカ、キタキツネ、オジロワシを見つけ、多くの滞在時間を割きたかったたが、宿へのチェックインの時間が迫っていたため、後ろ髪を引かれる思いでこの地を後にした。

そんな経緯もあり、今回は野付半島の滞在時間をたっぷり取ることとした。野生動物の活動が活発になる時間帯は朝と夕の食事時と言われているので、7日の夕方と8日の朝方に野付半島を訪問する。

今は本当に便利なもので、住所が明確でない場所でもカーナビにマップコードを入力すると、希望の場所まで連れて行ってくれる。かくして、迷うことなく神の子池に到着した。

湧水につくられた池に倒木が静かに沈んでいる。雲間から差す光の強弱により微妙に表情を変える澄んだグリーンの水面に、周辺の木々が映り、不思議な世界を作り出している。

神秘的な静寂の世界にもう少し浸りたい思いを胸に、野付半島へと向った。